2018年09月10日

『フラバンジェノール®』がテロメラーゼを活性化することを確認―毛髪のもととなる細胞を増加させ髪の成長を促進する可能性―

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、九州大学大学院農学研究院 片倉喜範准教授と共同で『フラバンジェノール®』のテロメラーゼ活性化による育毛作用の可能性を確認し、日本食品科学工学会第65回大会において発表しました。

【演題】植物抽出物由来発毛促進成分の探索

【講演者】
松尾 花佳1)、森川 琢海2)、三井 雄史2)、片倉 喜範1、3)
1) 九州大学大学院 システム生命科学府、2)株式会社東洋新薬、3)九州大学大学院 農学研究院

 

■『フラバンジェノール®』とは
『フラバンジェノール®』とは、フランス南西部ランド地方を主体に植林された海岸松の樹皮から抽出される東洋新薬の独自素材です。オリゴメリック・プロアントシアニジン(OPC)を主成分としたポリフェノールを豊富に含み、抗酸化作用をはじめとした様々な生理活性を示すのが特徴です。また近年強力な美白作用や抗シワ作用が確認され、各分野で注目を集めています。

当社は、これまでにフラバンジェノール®に関して様々な研究を進めており、美容分野では、美白作用、育毛作用など多くの機能性を持つことを確認しています。今回、当社と九州大学大学院農学研究院 片倉喜範准教授はフラバンジェノール®の育毛作用の新たなメカニズムとして、皮膚の最外層である表皮〔注①〕に存在するテロメラーゼを活性化することを確認し、日本食品科学工学会第65回大会(2018年8月22日(水)~24日(金)、東北大学)において発表しました。

■「テロメラーゼ」とは
テロメラーゼは細胞の分裂寿命を司るテロメアを伸長する酵素です。ヒトを含む生物が生存していくために必要な遺伝情報の集合体である染色体の両端に存在するテロメアは、細胞分裂の回数券のようなもので、細胞分裂と共に短縮し、テロメアが短くなると細胞はそれ以上分裂しなくなります。加齢や様々なストレスなどによりテロメアは短くなりますが、テロメラーゼは細胞分裂によって短縮したテロメアを伸長させます。テロメアが伸長すると、細胞の分裂寿命が延び、細胞老化を抑制することが可能であると考えられています。テロメアとテロメラーゼの仕組みを発見した研究者らは、2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。また、マウスを用いた研究から、表皮のテロメラーゼ(TERT)を活性化することで、毛髪が成長することが知られています1)

 

■研究のポイント
生活習慣の変化などにより男性、女性問わず薄毛に悩む人は増加しており、今後も育毛市場の拡大が見込まれます。現在、男性ホルモンの分泌抑制、血流量の増加促進などの効果を有する育毛剤が市場で流通しているものの、薄毛に悩む人が増加していることや、男性と女性の薄毛の原因が異なることなどから、薄毛対策への新しいアプローチが望まれています。
片倉喜範准教授は、これまで細胞老化研究の観点から老化を制御、誘導する分子メカニズムを解明されてきました。その中で、現在、薄毛対策への新しいアプローチとして、表皮のテロメラーゼの活性化を指標として育毛促進成分を探索する研究に取り組まれていますが、表皮のテロメラーゼの活性化は、毛のもととなる細胞を増加させることによって毛髪の成長を促進するため、従来の育毛剤とは異なり、薄毛の原因に依らず、男女ともに効果のある育毛剤の開発が期待されます。
今回、当社と片倉喜範准教授は、フラバンジェノール®のテロメラーゼ活性化に及ぼす影響とともに脱毛に及ぼす影響を評価した結果、フラバンジェノール®の育毛作用メカニズムに関する新たな知見を見出しました。

 

■発表骨子
ヒト表皮角化細胞〔注②〕にフラバンジェノール®を添加し、細胞寿命を延長するテロメラーゼ(TERT)の遺伝子発現量および毛髪の成長期から退行期〔注③〕への移行を促進するTGFβ1〔注④〕の遺伝子発現量を定量的RT-PCR法〔注⑤〕により解析しました。
その結果、フラバンジェノール®の添加によりTERT遺伝子の発現量が増加し、さらにTGFβ1遺伝子の発現量が減少することが確認されました。
これまで、フラバンジェノール®の育毛作用メカニズムとしては、血流改善作用、抗酸化作用が考えられていましたが、今回の共同研究の結果から、フラバンジェノール®はヒト表皮細胞において、毛のもととなる細胞を増加させることで毛髪の成長を促進し、さらには毛髪の成長期から退行期への移行を抑制するという、新たな育毛作用メカニズムを有することも示唆されました。

東洋新薬は今後もフラバンジェノール®の機能性を探求し、機能性を活かした商品の開発を通じて、一人でも多くの方の生活の質(QOL)の向上や、健康の維持・増進に貢献して参ります。

〔注①〕 表皮
頭、顔、腕など全身の皮膚の最も外側に存在する4層からなる膜です。頭皮において、毛髪は表皮細胞から構成されています。

〔注②〕 ヒト表皮角化細胞
ヒトの皮膚から単離された細胞で、皮膚研究に一般的に用いられています。

〔注③〕 成長期、退行期
毛髪の成長は成長期、退行期、休止期からなる毛周期と呼ばれるサイクルで制御されています。毛髪は成長期に成長し、退行期に細胞分裂が停止することで成長が止まります。休止期は毛髪が自然に抜け落ちるのを待っている状態です。

〔注④〕 TGFβ1
形質転換増殖因子β1(transforming growth factor-β1)。TGFβ1の分泌は、男性型脱毛症(AGA)の発症機序の一つとされています。

〔注⑤〕 定量的RT-PCR法
遺伝子を増幅させることで、その遺伝子の発現量を定量的に測定します。

=参考文献=
1) Sarin KY, Cheung P, Gilison D, et al., Conditional telomerase induction causes proliferation of hair follicle stem cells. Nature. 2005 ;436(7053):1048-52.

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