2015年09月04日

注目の抗菌ペプチド“αディフェンシン” 『大麦若葉末』による分泌促進作用を確認

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、北海道大学 綾部 時芳 教授、中村 公則 准教授と共同で、『大麦若葉末』のαディフェンシン分泌促進作用を確認し、日本食品科学工学会第62回大会において発表いたしました。

【演題】
 大麦若葉末がαディフェンシン分泌に与える影響
【講演者】
森川 琢海1)、佐藤 敬1)、上野 栞1)、友澤 寛1)、北村 整一1)、鍔田 仁人1)、山口 和也1)、髙垣 欣也1)、櫻木 直也2)、中村 公則2)、綾部 時芳2)
1)株式会社東洋新薬、2)北海道大学 先端生命科学研究院

■αディフェンシンとは
『αディフェンシン』は、腸内の病原菌を排除し、腸内フローラ〔注①〕を制御することが知られている抗菌ペプチド〔注②〕の一種です。小腸陰窩〔注③〕に存在するパネト細胞〔注④〕から分泌され、ビフィズス菌などのいわゆる〝善玉菌〟にはほとんど作用せず、サルモネラ菌などの病原菌に対して強い殺菌作用を示すという選択的機能で腸内環境の維持に寄与しています。そのため近年、自然免疫〔注⑤〕のキープレイヤーとして注目されています。

今回当社は、大麦若葉末の新たな機能性として、αディフェンシンの分泌を促進することを確認し、日本食品科学工学会第62回大会(2015年8月27日(木)~8月29日(土)、京都大学吉田キャンパス)において発表いたしました。

■研究の背景
『大麦若葉末』は、イネ科オオムギの若葉部を乾燥、微粉砕加工した機能性食品素材です。ヒト試験において、便通改善作用を有することを確認しており、これをもとに大麦若葉の食物繊維を関与成分とした青汁が平成22年8月23日付けで特定保健用食品の表示許可を受けております。

また当社では、大麦若葉末の機能性について研究を重ねており、これまでに整腸作用以外にも、血中中性脂肪上昇抑制作用、カルシウム吸収促進作用、食後血糖値上昇抑制作用などを確認しております。

さらに大腸癌抑制作用、潰瘍性大腸炎抑制作用、腸内環境改善作用など消化管の免疫機能を亢進させることも確認しているため、今回は腸内フローラを制御する抗菌ペプチド『αディフェンシン』に着目し、大麦若葉末の摂取がαディフェンシンの分泌に与える影響を動物試験で評価するとともに、そのメカニズムについて細胞試験で検証しました。

■発表骨子
動物試験では、雄性マウスに、無繊維高脂肪食(コントロール群)、無繊維高脂肪食+セルロース(セルロース群)および無繊維高脂肪食+大麦若葉末(大麦若葉末群)のいずれかを3週間摂取させ、1週間毎に糞中のαディフェンシン量を測定しました。また、細胞試験では、マウスの小腸から単離したパネト細胞を含む小腸陰窩に大麦若葉末を添加し、パネト細胞分泌物に含まれるαディフェンシン量を測定しました。さらに、パネト細胞分泌物に含まれる抗菌ペプチドを病原性細菌であるサルモネラ菌に曝露して、生菌数を測定しました。
動物試験の結果から、大麦若葉末群ではコントロール群と比較して、摂取2及び3週間後の糞中αディフェンシン量が有意に増加し、またセルロース群と比較しても摂取2及び3週間後の糞中αディフェンシン量に有意な増加が認められました。
またパネト細胞を含む小腸陰窩を用いた細胞試験では、大麦若葉末の添加により、αディフェンシンの分泌量が増加し、さらにサルモネラ菌の生菌数が有意に低下しました。

以上のことから、大麦若葉末は生体内においてαディフェンシンの分泌を促進すること、またそのメカニズムとして、大麦若葉末がパネト細胞に直接作用することで、αディフェンシンの分泌を促進することが示唆されました。

東洋新薬は今後も大麦若葉末を用いた独自性の高い商品を開発し、より一層の拡販に注力して参ります。

〔注①〕腸内フローラ
腸内に生息している細菌群のことです。腸内では約100兆個の細菌がバランスを保ちながら共生していますが、何らかの要因でバランスが崩れると病原菌の増殖や病気の一因になることが知られています。

〔注②〕抗菌ペプチド
自然免疫の一種で、病原性細菌に対して殺菌活性を示す物質です。

〔注③〕小腸陰窩
栄養成分の吸収を行う小腸の腸絨毛の根本が窪んだ部分のことです。抗菌成分や消化管ホルモンなどを分泌する役割などを担っています。

〔注④〕パネト細胞
小腸陰窩の最基底部に存在する上皮細胞で、αディフェンシンなど抗菌ペプチドを産生・分泌します。

〔注⑤〕自然免疫
生体が生まれながらにもっている、外来性の病原菌を排除することで体を守る仕組みです。

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