2016年08月30日

秋田県との連携協定に基づく成果を発表 ― 春の山菜『こごみ』が変形性関節症の痛みを軽減する可能性 ―

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、『こごみ』の変形性関節症に対する効果を確認し、日本食品科学工学会第63回大会において発表いたしました。

【演題】
変形性関節症モデルおよび軟骨細胞を用いたこごみの関節に対する効果の検証
【講演者】
森川 琢海1)、尾上 貴俊1)、佐藤 敬1)、北村 整一1)、山口 和也1)、藤嶋 佐久榮2)
1)株式会社東洋新薬、2)有限会社栄物産

■『こごみ』とは
『こごみ』とは、日本各地に自生しているシダ類の多年草植物クサソテツの若芽です。クサソテツは、縄文時代の遺跡から発見されるなど、生命力の強い植物として知られています。こごみは、東北地方で山菜として食されており、灰汁抜きせず簡単に調理できることから、天ぷらやおひたし等として親しまれています。また、ビタミン、キサントフィル、ポリフェノール等が豊富に含まれており、強い抗酸化活性を持つことが知られています。
ところで、近年、健康寿命を短縮させる要因としてロコモティブシンドローム〔注①〕が問題となっており、その原因の一つとして変形性関節症〔注②〕があります。変形性関節症は、加齢や機械的ストレスによって生じた酸化ストレスが軟骨組織の破壊や、軟骨細胞の細胞死を引き起こすことで発症、進行することが知られています。このため、抗酸化物質の摂取などによる酸化ストレスの軽減が変形性関節症の予防に有用であると考えられています。
そこで当社は、東北地方で栽培、採取される農産物において、強い抗酸化活性を持つことが知られていたこごみに着目し、変形性関節症に対する効果について研究を進めてきました。

今回当社は、有限会社栄物産(秋田県)と共同で、こごみの変形性関節症に対する効果を確認し、日本食品科学工学会第63回大会(2016年8月25日(木)~27日(土)、愛知・名城大学)において発表いたしました。

■研究のポイント
当社は、2014年3月に秋田県と食関連産業等の振興に関する連携協定を締結しました。そして、公益財団法人あきた企業活性化センターの支援のもと、秋田県の農林水産物を活用した機能性素材開発を通じ、秋田県における食関連産業の振興および地域経済の活性化に取り組んでおります。今回、その成果として、こごみの摂取が変形性関節症の痛みを軽減する可能性を確認しました。

■発表骨子
変形性膝関節症モデルラット〔注③〕に、こごみ粉末を1日1回2,000 mg/kg 経口投与(こごみ群)し、投与7日目および14日目に下肢の痛覚過敏に対する評価を行いました。その結果、こごみ群において非投与(コントロール群)と比較し、投与7日目より痛覚過敏の緩和傾向が認められ、投与14日目には有意な改善が認められました。
また、正常ヒト膝関節由来軟骨細胞に炎症性サイトカイン〔注④〕であるIL-1βおよびこごみ粉末を添加し、軟骨組織の破壊に関与するMMP1〔注⑤〕の遺伝子発現量を定量的RT-PCR法〔注⑥〕により解析しました。その結果、こごみの添加により未処理と比較してMMP1の有意な発現低下が認められました。
以上のことから、こごみは炎症に伴う軟骨組織の破壊を抑制し、変形性関節症の痛みを軽減させることが示唆されました。

東洋新薬は今後も『こごみ』の機能性を探求し、独自性の高い素材開発、商品開発に注力して参ります。

〔注①〕ロコモティブシンドローム
骨格筋や関節など運動器の障害により「立つ」、「歩く」といった運動機能が低下した状態のことです。変形性関節症以外にも関節リウマチや骨粗鬆症、加齢などがその原因とされています。ロコモティブシンドロームは寝たきり、痴呆などの健康寿命短縮の要因となるため、予防、早期発見が重要とされています。

〔注②〕変形性関節症
様々な原因により関節の軟骨がすり減ることで痛みや腫れが生じ、最終的に関節の変形をきたす病気です。一度変形した関節はもとには戻らないため、予防、早期発見が重要とされています。

〔注③〕変形性膝関節症モデルラット
健常ラットの膝関節腔内へ薬物のモノヨードアセテート(MIA)を投与して、変形性関節症を誘発したラットです。MIAを投与することで軟骨細胞の機能が低下し、コラーゲンやプロテオグリカンの分泌が抑制されます。

〔注④〕炎症性サイトカイン
生体内で様々な炎症症状を引き起こす因子です。変形性関節症の軟骨細胞では、炎症性サイトカインの一つであるIL-1βが多く発現しており、軟骨組織を構成するコラーゲンやプロテオグリカンの分解酵素の発現を誘導しています。

〔注⑤〕MMP1(マトリックスメタロプロテアーゼ1)
コラーゲンを分解する酵素の一つです。変形性関節症の軟骨細胞では、MMP1などのコラーゲン分解酵素の遺伝子発現が上昇しており、軟骨組織の破壊に関与しています。

〔注⑥〕定量的RT-PCR法
遺伝子を増幅させることで、その遺伝子の発現量を定量的に測定します。

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