2013年10月21日

東洋新薬 『黒ショウガ』摂取によるエネルギー消費量増加作用を臨床試験により確認-継続的に摂取することで褐色脂肪組織を増加させる可能性を示唆-

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、天使大学および北海道大学 斉藤 昌之 名誉教授らとの共同研究により、『黒ショウガ』摂取によるエネルギー消費量増加作用を臨床試験にて確認し、そのメカニズムの1つとして、褐色脂肪組織を刺激し熱産生を促進させる可能性があることを第34回日本肥満学会において発表いたしました。

■『黒ショウガ』とは
『黒ショウガ』は、ショウガ科バンウコン属の植物で、学名をKaempferia parvifloraとし、英語では“Black Ginger”、ラオス語では“Khing-dam:キング(ショウガ)-ダム(黒い)”と呼ばれており、「ポリメトキシフラボノイド」という特徴成分が含まれています。
黒ショウガはタイやラオスの山間部に自生し、現地ではお茶やリキュールなどにして飲まれており、伝承的な機能性として滋養強壮や冷え症改善があると言われてきました。   

当社ではこれまでに、黒ショウガの機能性として、動物試験にて体脂肪蓄積抑制作用、体温低下抑制作用、褐色脂肪組織の交感神経活動活性化作用などを確認しております。

今回当社は、臨床試験にて黒ショウガ摂取によるエネルギー消費量増加作用を確認し、そのメカニズムの1つとして、褐色脂肪組織を刺激し熱産生を促進させる可能性があることを第34回日本肥満学会(2013年10月11日(金)~12日(土)、東京国際フォーラム)において発表いたしました。

■研究の背景
褐色脂肪組織は、脂肪を燃やし熱産生する役割を持ち、その発熱能力は骨格筋の70~100倍もあると言われています。しかしながら、ヒトの褐色脂肪組織は加齢と共に減少し、これが中年太りの原因の1つとされているため、近年、肥満治療やダイエットの観点から、褐色脂肪組織の熱産生に影響を及ぼす機能性食品についての研究が活発に行われています。既に特定の辛味成分を継続的に摂取することで、加齢により減少したヒトの褐色脂肪組織を刺激し、増加させる研究成果が報告されていることから1)、今回当社は、臨床試験にて黒ショウガの摂取が褐色脂肪組織の熱産生へ及ぼす影響について検証しました。

■発表骨子
FDG-PET/CT〔注①〕を用い、褐色脂肪組織の高活性者(BAT+群)5名および低活性者(BAT-群)5名の計10名を選択し、黒ショウガ100mgを含有するカプセル、またはプラセボカプセルを単回摂取させ、摂取前、摂取30分後、60分後、90分後および120分後に、呼気ガス分析〔注②〕によりエネルギー消費量を測定する二重盲検クロスオーバー試験〔注③〕を実施しました。
その結果、BAT+群では、黒ショウガ摂取60分後にエネルギー消費量が有意に増加した一方、プラセボ摂取時には有意な変動は認められませんでした。また、BAT-群では、黒ショウガ摂取時およびプラセボ摂取時共に有意な変動は認められませんでした。
以上のことから、黒ショウガを摂取することにより、エネルギー消費量が増加することが確認され、そのメカニズムの1つとして黒ショウガが褐色脂肪組織を刺激することにより熱産生を促す可能性が示唆されました。

今回の知見により、黒ショウガがヒトに対して効果を有することが確認されたことから、継続的に摂取することで、褐色脂肪組織を増加させる可能性が期待できます。
東洋新薬は今後も『黒ショウガ』の機能性を探求し、独自性の高い素材開発、商品開発に注力して参ります。

〔注①〕FDG-PET/CT
グルコースを積極的に細胞内に取り込む組織を評価するための方法です。褐色脂肪組織は、細胞内に多くのグルコースを取り込む特徴を有することから、ヒトの褐色脂肪組織を検出するために利用されています。フッ素の放射線同位体でラベルしたグルコースであるFDGは、解糖系で代謝されずに細胞内に蓄積されγ線を放出します。このγ線をPETカメラで撮影することで褐色脂肪組織の活性の強弱を評価することが可能です。

〔注②〕呼気ガス分析
呼気中の酸素および二酸化炭素の濃度を分析し、エネルギー消費量を算出することが可能です。

〔注③〕二重盲検クロスオーバー試験
二重盲検とは、被験者の思い込みによる影響や試験実施者の挙動が被験者に影響を与える可能性を排除するために、被験者および試験実施者側に試験品の中身を知らせずに効果を検証する試験です。
クロスオーバー試験とは、2群の各被験者に試験品とプラセボを、時期をずらして摂取させ、それぞれの結果を集計して評価する試験です。

=参考文献=
1) 斉藤昌之編集:ここまでわかった燃える褐色脂肪の不思議,p.119-123,2013

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