2013年04月17日

東洋新薬 佐賀県固有の香酸柑橘類『ゲンコウ』の育毛作用-成長因子の発現亢進を確認-

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、佐賀県固有の香酸柑橘類『ゲンコウ』果皮抽出物の育毛に関する作用を確認し、日本薬学会第133年会において発表いたしました。

■『ゲンコウ』とは
『ゲンコウ』とは、佐賀県馬渡島に自生する香酸柑橘類の一種で、佐賀県固有の希少な果実です。馬渡島の山間部はかつて隠れキリシタンが住んでいたとされ、ゲンコウは宣教師が持ち込んだといわれています。ゲンコウは果皮が厚く、酸味が強いことから、地元では調味料としても利用されています。

柑橘果皮を乾燥させた陳皮は古来より生薬として用いられており、健胃、利尿、鎮咳、去痰の作用があることが知られています。
また、柑橘果皮に含まれる成分には抗炎症作用、血流促進作用があるという報告もあり、近年、柑橘果皮の機能性に注目が集まっています。
当社では、ゲンコウの果皮抽出物が育毛に関与する成長因子の発現を亢進させることをin vitroで確認し、日本薬学会第133年会(2013年3月27日(水)~30日(土)、パシフィコ横浜)において発表いたしました。

■研究のポイント
当社は2012年1月に本部・工場を置く佐賀県と産業振興に関する協定を締結し、佐賀県内の地域資源の付加価値創出に取り組んでおります。その中で、今回、佐賀県固有の香酸柑橘類であるゲンコウの機能性に着目し研究を進めた結果、育毛に関する作用を細胞・遺伝子レベルで確認しました。この新たなゲンコウの機能性発見により、今後、育毛素材としての商品開発が期待されます。

■発表骨子
毛髪の成長には、成長因子〔注①〕を分泌し毛周期(ヘアサイクル)をコントロールする毛乳頭細胞〔注②〕が関与していることが知られています。
今回、ゲンコウを含めた約60種の柑橘類の果皮抽出物を毛乳頭細胞に添加し、細胞賦活作用〔注③〕を測定した結果、ゲンコウ果皮抽出物が他の柑橘果皮抽出物と比較して強い毛乳頭細胞賦活作用を有することを確認しました。
さらに、ゲンコウ果皮抽出物で処理した毛乳頭細胞において、未処理の毛乳頭細胞(control)と比較したところ、毛髪の成長に関与するFGF7、VEGF〔注④〕等の成長因子の発現を亢進させることを、定量的RT-PCR法〔注⑤〕により確認しました。

東洋新薬では今後も『ゲンコウ』の機能性を探求し、独自性の高い素材開発、商品開発に注力して参ります。

〔注①〕成長因子(グロースファクター)
細胞間の信号物質として働き、増殖や分化を促進する内因性タンパクの総称。

〔注②〕毛乳頭細胞
毛髪形成の指令を出す細胞。毛乳頭細胞の出す成長因子等によって毛周期が制御されています。

〔注③〕細胞賦活作用
細胞の活性化作用。ミトコンドリアのエネルギー代謝活性を指標として測定しています。

〔注④〕FGF7、VEGF
毛髪の元となる毛母細胞の増殖を促進し、毛髪の成長を促す成長因子。

〔注⑤〕定量的RT-PCR法
遺伝子を増幅させることで、その遺伝子の発現量を定量的に測定する方法。

▶お知らせ一覧にもどる