2015年11月30日

界面活性剤フリー入浴剤にてスキンケアと温浴のダブル効果を確認― 日本初※三相乳化入浴剤の商品化に成功 ―

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、三相乳化技術を応用した界面活性剤フリーの乳化系入浴剤がスキンケア効果と温浴効果を両立することを確認し、第77回SCCJ研究討論会において神奈川大学と共同発表いたしました。そしてその知見をもとに、三相乳化入浴剤の商品化を日本で初めて実現しました。

※三相乳化技術を応用した入浴剤として(2015年10月現在。東洋新薬調べ)

■三相乳化技術とは
三相乳化技術〔注①〕は、従来用いられてきた界面活性剤の化学的作用による乳化ではなく、柔らかい親水性ナノ粒子の物理的作用(ファンデルワールス引力)を利用した新しい乳化技術で、界面活性剤乳化よりも優れた乳化性能を示します。
当社はこれまで、O/W型〔注②〕の三相乳化エマルションの特長を生かし、みずみずしい感触とクリーム級の保湿力を両立したクリームインジェルや、耐水耐汗性に優れた日やけ止め、ハンドクリーム、デオドラントクリームなどの化粧品を多数開発して参りました。

■研究の概要
三相乳化技術を応用した界面活性剤フリーのO/W型入浴剤(以下、三相乳化入浴剤)は、エモリエント成分(皮膚に柔軟性を与える親油性成分)と保湿成分(親水性成分)を安定的に配合でき、浴湯への広がりが良好なため、全身のスキンケアに適すると考え、研究開発に取り組んで参りました。
今回当社は、三相乳化入浴剤がスキンケア効果と温浴効果を両立することを確認し、第77回SCCJ研究討論会(2015年11月27日(金)、品川区総合区民会館きゅりあん)において神奈川大学 田嶋和夫 特別招聘教授と共同発表いたしました。なお、本開発は神奈川大学と共同で特許出願をしております。

■ 発表骨子
(実験①)
健常成人女性8名(20~40代)を対象に、前腕屈折部分を41℃付近の「三相乳化入浴剤(※1)」、「界面活性剤乳化入浴剤(※1)」、「湯」のいずれかに5分間浸漬し、入浴前、湯上り60分後の角質水分量を測定しました。その結果、「界面活性剤乳化入浴剤」や「湯」に浸漬した部位に比べて、「三相乳化入浴剤」に浸漬した部位の角質水分量が有意に高くなり、入浴前と比べ1.6倍の保湿性が示されました。
以上のことから、三相乳化入浴剤では保湿作用が発揮され、持続することが示唆されました。
※1:300倍に希釈

(実験②)
健常成人女性を対象に、下肢を41℃付近の「三相乳化入浴剤(※2)」、「界面活性剤乳化入浴剤(※2)」のいずれかに5分間浸漬し、入浴前と入浴直後、湯上り20分後の浸漬部位の皮膚表面温度を測定しました。その結果、「三相乳化入浴剤」は、湯上り20分後の皮膚表面温度の上昇及び末端(指先)まで保温効果が及ぶことを確認しました。
※2:3000倍に希釈

以上のことから、三相乳化入浴剤は温浴効果を高め、保温や湯冷め防止効果が持続することが示唆されました。

■今後の展望
三相乳化技術は肌にやさしく保湿作用にも優れ、様々な化粧品に応用できる技術です。その一端として今回、入浴剤開発に応用し日本初の商品化を実現いたしました。
東洋新薬は今後も三相乳化技術を用いた独自性の高い化粧品を開発し、より一層の拡販に注力して参ります。

〔注①〕三相乳化技術
親水性ナノ粒子の物理的な作用(ファンデルワールス引力)によって乳化を行う神奈川大学の特許技術(特許第3855203号『乳化分散剤及びこれを用いた乳化分散方法並びに乳化物』)で、化粧品のみならず、食品、燃料、農薬などのさまざまな分野で利用されており、国内外の多くの企業からも注目を集めています。化粧品製造に利用した場合、乳化剤として界面活性剤を使用する必要がないため、[界面活性剤フリー]といった幅のある訴求や、界面活性剤乳化で課題となる耐水耐汗性や使用性を改善し、機能的優位性の実現が可能となります。

〔注②〕O/W型
水と油を乳化する場合、水相中に油を取り込む「水中油滴(O/W型)」や、その逆の「油中水滴(W/O型)」を主に構成します。O/W型の場合、W/O型に比べてベタつきの少ないみずみずしい化粧品に仕上げることが出来ます。

 

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