2021年03月22日

九州大学との組織対応型連携の成果第一弾を発表―『フラバンジェノール®』の育毛作用に関する新規知見―

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、九州大学大学院農学研究院 片倉喜範教授と共同で『フラバンジェノール®』による育毛作用の新たな知見について日本農芸化学会2021年度大会において発表しました。

■研究のポイント
当社は、2019年3月に九州大学と組織対応型連携協定を締結し、健康食品及び化粧品の商品開発プロセスにおける要素・技術に関する共同研究を推進しており、本発表はその成果の第一弾となります。
生活習慣の変化などにより男性、女性問わず薄毛に悩む人は増加しており、さらに男性と女性の薄毛の原因が異なることなどから、薄毛対策への新しいアプローチが望まれています。これまで、当社はフラバンジェノール®が抗酸化作用等の様々な生理活性を示すことから、育毛作用を有すると考え、研究を進めてきました。また、当社と九州大学大学院農学研究院 片倉喜範教授は、薄毛対策への新たなアプローチとして表皮〔注①〕のテロメラーゼの活性化〔注②〕による育毛作用を示す素材を探索する研究において、フラバンジェノール®にこの作用があることを見出し、2018年9月に日本食品科学工学会第65回大会で発表しています。今回は、新たにフラバンジェノール®の血流改善による育毛作用について細胞試験にて確認しました。さらに、フラバンジェノール®が生体において育毛作用を示すことを動物試験にて確認し、日本農芸化学会2021年度大会(2021年3月18日(木)~21日(日)、オンライン開催)において発表しました。

■『フラバンジェノール®』とは
『フラバンジェノール®』とは、フランス南西部ランド地方を主体に植林された海岸松の樹皮から抽出される東洋新薬の独自素材です。オリゴメリック・プロアントシアニジン(OPC)を主成分としたポリフェノールを豊富に含み機能性表示食品素材として「悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能」について多数の届出実績を有しており、昨年には日本で初めてのヘルスクレームとなる「血管の柔軟性維持に役立つ」旨の機能性表示食品が届出、公開されました。

■発表骨子
ヒト表皮角化細胞〔注③〕にフラバンジェノール®を添加し、血流改善による栄養供給促進を介した育毛作用に寄与するVEGF〔注④〕の遺伝子発現量を定量的RT-PCR法〔注⑤〕により解析しました。その結果、フラバンジェノール®の添加によりVEGFの遺伝子発現量が増加することが確認されました。また、背部を剃毛したマウスをフラバンジェノール®群(50%エタノール溶液に溶解したフラバンジェノール®1%溶液を塗布)と対照群(50%エタノール溶液を塗布)の2群に分け、それぞれを週6回、10日間塗布し、育毛状態を確認しました。その結果、対照群と比較し、フラバンジェノール群で育毛が促進している様子が確認されました。

これまでに、フラバンジェノール®は、テロメラーゼの活性化の他、脱毛を促進するTGFβ〔注⑥〕に影響を及ぼすことが明らかになっています。フラバンジェノール®の育毛作用は、今回確認された血流改善を介した作用経路を含め、少なくとも3つの作用経路を介する可能性が示唆されました。

東洋新薬は今後もフラバンジェノール®の機能性を探求し、機能性を活かした商品の開発を通じて、一人でも多くの方の生活の質(QOL)の向上や、健康の維持・増進に貢献して参ります。


〔注①〕表皮
皮膚の最も外側に存在する4層からなる膜です。頭皮において、毛髪は表皮細胞から構成されています。

〔注②〕テロメラーゼの活性化
テロメラーゼは細胞の分裂寿命を司るテロメアを伸長する酵素であり、表皮のテロメラーゼの活性化は、毛のもととなる細胞(毛包幹細胞)を増加させることで毛髪の成長を促進します。

〔注③〕ヒト表皮角化細胞
ヒトの皮膚から単離された細胞で、皮膚研究に一般的に用いられています。

〔注④〕VEGF
血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor)。

〔注⑤〕定量的RT-PCR法
遺伝子を増幅させることで、その遺伝子の発現量を定量的に測定します。

〔注⑥〕TGFβ
形質転換増殖因子β1(transforming growth factor-β1)。

▶お知らせ一覧にもどる

▶学会発表一覧にもどる