2020年11月04日

IFSCC Congress 2020 Yokohamaにて発表 ~三相乳化エマルションが良好な使用感と高い機能性を実現~

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役社長:服部利光)は、日焼け止めやリキッドファンデーションなどの化粧品の製造に三相乳化法を適用することで、良好な使用感や高い機能性の両立を実現できることを確認し、2020年10月21日~30日にオンライン開催された「IFSCC Congress 2020 Yokohama」(第31回 国際化粧品技術者会連盟 横浜大会)において発表しました。

■発表タイトル
<英文名>
Study on coating uniformity and repellency of cosmetics prepared by the three-phase emulsification: Application to sunscreen and makeup products
<日本名>
 「三相乳化エマルションの撥水性、均一塗布性の研究  日焼け止め、メイクアップ製剤への応用について」
<発表者> 株式会社東洋新薬 化粧品事業部 処方開発部 吉田健志 (ポスター発表)


■研究の背景
日焼け止めやリキッドファンデーションなどの化粧品にとって、塗布時の均一性や効果の持続性、高い耐水性などは重要な機能です。そのため多くの商品では油中水型の処方が用いられますが、油分特有のべたつきなどや閉塞感など、使用感についての課題があります。一方で、水中油型の処方は、使用感は良好になる傾向があるものの、耐水性や塗布時の均一性などについては課題が残り、良好な使用感と高い機能性の両立の実現が望まれてきました。
三相乳化法〔注①〕は、従来用いられてきた界面活性剤の化学的作用による乳化ではなく、柔らかい親水性ナノ粒子の物理的作用(ファンデルワールス引力)を利用してO/W型〔注②〕乳化物に調製する方法です。親水性ナノ粒子は不可逆的に付着するため、外的環境の影響を受けず安定性を保ち、皮膚などの表面へ均一に付着する性質を持ちます。 そこで、三相乳化エマルションの基本特性は良好な使用感と高い機能性の両立を実現すると期待し、三相乳化法の日焼け止めやメイクアップ化粧品への応用を試みました。

■発表骨子
三相乳化エマルションの塗布後に得られる塗布膜の撥水性について調べました。バイオスキン上に一定量を塗布し、完全に乾燥させた後、滴下した水滴の接触角を測定しました。その結果、三相乳化エマルションの塗布膜に滴下した水滴は、接触角が大きく、高い撥水性を示しました。

次に、三相乳化法を応用したサンスクリーン製剤の塗布直後および15分間流水下に暴露させた際の、塗布膜の撥水性およびin vitroにおけるUV遮蔽能について調べました。その結果、同量のUV防御剤を用いた三相乳化によるO/Wエマルション(三相乳化品)と一般的な乳化によるサンスクリーン製剤(対照品)を比較した場合、三相乳化品は対照品より高い撥水性、およびUV遮蔽能を示しました。また、このUV遮蔽能は、流水暴露後でも高く保つことができました。

さらに、エマルションの塗布後に得られる塗布膜の均一性について、油相に着色顔料を配合したリキッドファンデーションを調製し、一定量を一定の力で伸ばした際の均一性を調べました。 三相乳化法を応用した化粧品は油のべたつき感が少なく、優れた成膜性が得られました。また、スキンケアで求められる高保湿性を得やすく、高いUV防御性をより少ないUV防御剤で実現できる可能性も示唆されました。三相乳化エマルションで得られる高い撥水性やサンスクリーン製剤における高い機能性は、三相乳化によるO/Wエマルションが外界の影響を受けにくいため、均一に付着しやすく、かつ塗布後は皮膚上に均一な油膜を形成するためと推察しています。

このように、三相乳化法を用いて製造した化粧品は、高い機能性、耐久性、スキンケア機能と良好な使用感をあわせ持つため、付加価値の高い商品を開発できることが期待されます。


■IFSCCとは
国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)は日本化粧品技術者会(SCCJ) の上部組織で、世界各地49のSociety が加盟しており、総会員数は約16,000 名です。年に1度各国の化粧品技術者が最新の研究成果を発表・討論する国際学術大会があります。 偶数年に開催される学術大会(Congress) では、各国の化粧品技術者が一堂に会し、最新の研究成果を発表し活発な討論が行われます。第31回目となる本大会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、オンラインでの開催となりました。


東洋新薬は今後も化粧品・健康食品のODEM(ODM&OEM)メーカーとして、一人でも多くの方の生活の質(QOL)の向上や健康の維持・増進に貢献するとともに、お客様に究極の価値をご提供してまいります。



〔注①〕三相乳化法
親水性ナノ粒子の物理的な作用(ファンデルワールス引力)によって乳化を行う神奈川大学の特許技術(特許第3855203号『乳化分散剤及びこれを用いた乳化分散方法並びに乳化物』)で、化粧品のみならず、食品、燃料、農薬などのさまざまな分野で利用されています。化粧品製造に利用した場合、乳化剤として界面活性剤を使用する必要がないため、[界面活性剤フリー]といった訴求や、界面活性剤による乳化で課題となる耐水・耐汗性や使用性を改善し、機能的優位性の実現が可能となります。

〔注②〕O/W型
水と油を乳化する場合、水相中に油を取り込む「水中油滴(O/W型)」や、その逆の「油中水滴(W/O型)」を主に構成します。O/W型の場合、W/O型に比べてベタつきの少ないみずみずしい化粧品に仕上げることができます。

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